【4】女芸人の百合小説。●<いびき皮>編の【その3】●事件~● ジェンダーSF小説「心地よい弾丸 heveanly bullet」
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連載中
https://twitter.com/dsa0/status/1752490414295384308
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ウサギのもとに、キノコがマンションで倒れていた
という情報が届いた
自殺の可能性もあるという
彼女は半狂乱になって
「かえちゃんのお葬式に行かないと!
かえちゃんのお葬式に行かないと!」と言った
「あたしが今行ったら、まだ起き上がるかもしれない!!」というのだ
2024013109:34:09
165
この話をあとで聞いた、ウサギのアンチは
ネットで「またウサギのビジネス天然がでた」と言った
「自殺未遂してすぐお葬式するわけないだろ」
「アホのふり寒い」
「こんな時にも、自己アピールやばない?」など叩かれた
2024013109:36:20
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キノコが、実際にやらかした暴走を中心に叩かれるのに対して
ウサギは、噂や憶測、雰囲気で叩かれていた
・ビジネス天然
・アホ、ポンコツ、役立たず
・ブタ
・キノコのおまけ
・性悪、腹黒
・ビッチ
彼女が、二丁目やマッチングアプリで男女構わずやりまくっているという噂もあった
2024013109:39:44
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もちろん、そんな証拠はなかった
しかしウサギは彼氏を作り、結婚もした
前のマネージャーとはやっていたわけだ
程度の差はあれ、絶対になにもなかったという証拠もない
「自分の知らないウサギがいるのかもしれない」
キノコはそう思った
2024013109:42:57
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キノコが倒れた話を聞いたウサギに、
夫が、
<まだキノコは生きており、
倒れて病院に運ばれて、
倒れた原因が「自殺(未遂)」かもしれない>
ということをウサギに説明した
2024013109:45:59
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ウサギはそれを聞いてもそわそわして
近所でたまたまやっていた他人の葬式に
「知り合いかもしれないので、顔だけ確認させてください」と意味不明なこと言って乗り込んだ
困惑する遺族が許可したので、棺桶の窓を開けると
しらないお爺さんが入っていた
2024013109:48:15
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ウサギは「本当に申し訳ない」と何度も謝り
「お餞別のかわりですが」とお札を取り出した
「香典」と間違えてるその変な女に
遺族はさらにおののき「結構です」と断った
一人のおじさんが「貰っといたらいい」と言って周囲にたしなめられていた
ウサギは関わるとやばい人として丁寧に追い出された
2024013109:55:08
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<事件>
その日、マネージャーは
しばらくキノコに連絡がとれないので
「万一のこと」も念頭に、彼女のマンションへ向かった
2024013111:09:29
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マネージャーが
マンションの管理人に事情を説明すると
管理人は、念のためということで警察官を呼んだ
マネージャーが嘘をついており
キノコのストーカーかなにかかもしれないとも思ったのだ
マネージャー、管理人、警官の
3人でマンションに入ることにした
2024013111:12:49
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マネージャーは、管理人と警官に
社員証を見せ、名刺を渡し
免許証の名前と同じであることの確認をとってもらった
1階のオートロックの横にあるインタホンで
キノコの部屋番号を押して、呼び鈴を押すが
反応はなく「ピンポーン」だけが何度も響いた
2024013111:15:31
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マネージャーは、救急車呼びましょうかねと言い
残りの二人から、今はまだ早すぎるんじゃないかと言われた
管理人がオートロックを開け、
マネージャーは、119にワン切りのようにして
発信履歴を作り、発信ボタンを押すだけで
すぐに救急車を呼べるようにスタンバイした
2024013111:17:55
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エレベータのなか、
マネージャーは、どの段階で救急車を呼べばいいのか聞き
とりあえず本人を確認してからでいいのでは、と言われた
キノコの部屋の前に着き
管理人が呼び鈴を鳴らすがやはり反応がない
2024013111:20:56
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管理人が、一応まわりの住人にも配慮した感じで
ドアをノックして「木下さん、おられますかー?」と言った
マネージャーが、ドアを叩いて「キノコさん!」大きな声で呼んだ
警官も「木下さーん」と少し大きめだが落ち着いた声で言った
まるでマンション全体に誰もいないかのように静かだった
2024013111:27:17
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警官は「入りましょう」と言った
管理人がドアの鍵を開けようとするが
手こずっている
一度カギを引き抜き、
カギについた札の番号と部屋番号を確かめるが一致している
「あ、こっちか」と言って逆のほうに回すと
カチャリと鍵があいた
中に入ろうとすると、鍵がかかっている
「あれぇ?」
2024013111:30:09
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管理人「あ、わかった、開いてたんだな」
彼はもう一度カギを挿し直し
カチャリとやると確かにカギが開いた
警官「あ、ちょっと待ってください
カギは最初開いてたんですか?」
管理人「はい、今カチャンて2回やりましたよね
1回めは開いてたのを閉めてしまって、
2回めで開きました」
2024013111:33:15
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警官は一人で来たことを後悔した
二人以上で来るべきだった
警官「いまので状況が変わりました
これ事件の可能性があるので
強盗とかの可能性があるので
ここから慎重になります、中に犯人がまだいるかも知れないので」
2024013111:35:15
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警官「お二人はここに来られるのは初めてですか?
部屋の中に入るのは?」
二人は頷いた
警官はふと思った
「このマネージャーという男が犯人で、証拠を隠滅するためにまた戻ってきたのかもしれない
中に入れていいのだろうか?」
2024013111:37:12
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警官は言った
「僕一人だけで入ります
お二人は中に入ったことがないということで
指紋がないことになります
もし事件だった場合、中に指紋がつくと取り調べや最悪、冤罪の疑いをかけられることにもなります
その辺ややこしいので一旦僕だけが入ります」
2024013111:40:30
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これは裏返せば
「入ったことがない」のに中に万一指紋があれば
かなり怪しいということにもなる
警官がドアをあけた
すべての明かりではないが灯りがついいて
そこまで物騒な気配はなかったが
部屋のなかの廊下から見えるリビングには
ドアがあいて、うつ伏せになっている人の姿が見えた
2024013111:43:26
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部屋の外から
それを見たマネージャーは顔色を変え
「救急車呼びます」と言ってスマホをタップした
警官は念のため、もう一度二人に「入らないで下さいね」と言った
どう動くのが正解か、何を優先すべきなのか
靴をはいたままだと現場を汚すことになるが
潜伏してる犯人が逃げた、追う必要がある
2024013111:47:34
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迷ってるよりもまず、ガイシャを確認しなくては。
警官は急いで靴を脱いで奥に入っていった
「おい、大丈夫か、えと木下さん、大丈夫?」
キノコがうつ伏せだったので
横を向かせ気道を確保したつもりでいた
「確かこれで良かったはず」
見たところ外傷はないが、まわりに薬がちらばっていた
2024013111:50:34
185
自分なりに「順番」を考えてから
一度玄関の近くにあるバスルームに向かい
中を確認したが洗面所にも、風呂場にも誰もいない
それからトイレも確認したが誰もいない
もう一度リビングに戻り
キノコを素通りし、カーテンを開け
ベランダに誰もいないことを確認した
窓のロックもかかっている
2024013111:54:22
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そうして警官はやっと応援を呼んだ
「こちら杉並区のマンション
女性が室内で倒れており、まわり薬物散乱
ただし部屋にカギがかかっておらず
誰かに飲まされた可能性あり
見たところ外傷なし
傷害又は強盗事件の可能性あり
呼吸は確認しましたが、生命の危険あり
救急車は呼んでいるところです」
2024013112:03:08
187
警官
「現場には、マンションの管理人と
ガイシャ女性の職場の方と
3人でおるところです
場所は…えと、細かい住所お願いします」
玄関に立つ警官が、管理人を見た
廊下にいる管理人が、住所を言う
警官
「場所は、
杉並区阿佐谷南成田東8-4-3
メゾンカルマ
至急、応援願います」
2024013112:10:36
188
警官が無線機で話している途中から
マンションに向かっている救急車の
サイレンが聞こえていた
警官が、住所を言い終わっているあたりで到着し
救急隊員らは、タンカや救命道具などを
車からおろしていた
2024013112:17:02
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部屋の外から「通ります、あけてください」と
救急隊員らの声が聞こえ
3人の隊員が、キノコの部屋にばたばたと入ってきた
彼らは慣れた手付きで対応していた
途中、意識のないキノコがぶっとおならをするも
彼らは真剣なままだった
2024013112:21:08
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タンカに載せる時、「さっきスベったキノコ」は
生死の境を彷徨いながらも、今度は
ぶぅぅうぅ~っと長めのおならをした
彼女の「実力」のおかげか、
そろそろ肩の荷が少しのりたのか
隊員の一人はマスクごしに吹き出した
彼は警官の手前すぐに真顔に戻り会釈をした
彼らはキノコを運んでいった
2024013112:26:34
191
キノコの意識はすぐには戻らなかった
警察の鑑識班が調べると、
コンビニの買い物、薬局でもらった薬など
内外に持ち運びできるもの以外には、
キノコと別の指紋しかなかった
そして合鍵を持っているという理由で
管理人は指紋が調べられた
マネージャーも念のために
2024013114:10:13
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マネージャーが
「この指紋は、警察にこの後も残るんですか?」と聞くと
警官は「かたち的には残りますが、あくまでも今回、
お二人の無罪を証明するためのものになります」と論点をずらした。
こういう時のために、よく使われる言い回しなのだろうか
2024013114:13:26
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二人の指紋は、
キノコのマンションにある「もう一つの指紋」とは
一致しなかった
連絡をうけ、ウサギも指紋を調べられることになった
照合すると、バッチリとウサギの指紋と一致した
ウサギは「つまり誰も部屋に入ってないということやね」と言った
2024013114:16:26
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室内はこれといって荒らされた形跡はなかったが
元から多少乱雑としていたのかどうかは警察にはわからなかった
あいかわらず、キノコの意識はまだ戻らなかった
しばらくして、ウサギは「私がやるわけがない!
私はなにもやってません!」と
自分に嫌疑がかかる可能性があることに気づいた
2024013114:19:13
195
もしこのままキノコが命を失うと
ウサギが何かしたという可能性にもなる
入り口の監視カメラの修理を送らせていた管理人は
まさか、こんなことになるとは思っていなかった
エレベータにもカメラはあるが、非常階段で上まで上がることも可能なのだ
2024013114:21:20
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ウサギは、キノコの自殺未遂の連絡を受けた頃から
「こんなことになるなら、結婚なんてしなければよかった」とさえ思っていた
ネットでは、「ウサギ犯人説」まで出てきて
泣きっ面に蜂で、さすがのウサギも
「私がやるわけないやんか!」と憤慨していた
2024013114:23:51
197
そんなとき、ようやくキノコの意識が戻ったという
皆は胸をなでおろし、ウサギとマネージャーは涙を流して喜んでいた
しかし、まだ人に会える状態ではなく
治療と療養のときを過ごしていた
2024013114:27:05
198
それからしばらくして、
ある体力も回復してきたキノコは
ウサギにお別れの挨拶をしにきた
ウサギの近くの公園で、二人きりであった
キノコは「もう、あんなことしないよ」言いうと
ウサギは「絶対にやで。
私が悪い、ごめんさない、ほんまにごめんさない」と泣いた
2024013114:30:37
199
キノコも涙がぽろぽろと流れ出し
抱き合って泣いて、
ドラマ等でよく見る「顔をゆがめながら泣く」というのをふたりともはじめて経験した
公園で会うことにしたのは、そこからHになったりしたら情が移って変になりそうだったからだ
ウサギは、夫がついていこうかというのを断っていた
2024013114:34:21
200
ウサギは、リュックを背負い何度も振り返りながら手をふるキノコを泣きながら見送った
それからキノコは引っ越しし、誰にも居場所はつげなかった
ウサギは「何かあったら連絡してや、気持ちが変わったら住所教えてほしい」とLINEした
電話で話すこともあったが、それもだんだんと途切れていった
2024013114:37:52
201
その後のキノコについて様々な噂が流れた
・大学に入った
・海外に留学、移住した
・映画を作ってる、バンドをやってる
・名前を隠し放送作家を続けている
・お遍路参りをしている
・新しい彼女ができた
・ニューハーフと同棲している
・また自殺して死んでいる
2024013114:41:58
202
<消息不明のキノコ
新しい彼女とデート!>
一度、週刊誌にスクープされた
その女性は、一般人らしく目元は隠されているが
とてもウサギに雰囲気が似ていた
2024013114:44:35
203
ネットでは
・やっぱりああいうのがタイプなんだ
・よほど忘れられないんだな、可哀想に
などの声があがった
キノコは張り込みを疎ましく思ったのか
静かな生活を求めてすぐに引っ越したらしい
それから、彼女の姿を見る人はだれもいなかった
2024013114:45:33
204
何年たっただろうか
彼女は突如、自伝的な小説を発表した
それは彼女なりに、工夫や実験的な試みをした
未熟ながらも独特の世界観のある小説だった
彼女は小説は書いたことはなかったが
文学賞を受賞した先輩芸人がいたので
彼のアドバイスなどを受け書き始め、
最後にはそれを完成させた
2024013114:49:14
キノコの小説は、女芸人コンクールで優勝したネタ
「私は、人工子宮になりたい」をタイトルにしていた
小説「私は、人工子宮になりたい」
その最後はこう締められていた
---
結局、私は
漫才もやめ、放送作家もやめてしまった
恋愛もうまくいかず、仕事もなげだしてしまった
2024013114:54:35
私は、障害や病気のせいで
子供が産めないわけではないが
女の子、いや、ゆっこのことだけを愛していたから
赤ちゃんを産むことはないだろう
もし私が人工子宮だったら、
愛する人を奪われ、傷つくこともないし
誰かになにかを期待して、疎まれることもない
2024013114:56:18
207
人工子宮は、ただそこにいて
なにも要求せず、役目を果たし
なんと強く、立派なことだろうか
そんなことを考えると、
ゆっこが人工子宮に似ているような
気もするのであった。
私は、人工子宮になりたい。
---
2024013115:01:02
207
人工子宮は、ただそこにいて
なにも要求せず、役目を果たし
なんと強く、立派なことだろうか
そんなことを考えると、
ゆっこが人工子宮に似ているような
そんな気もするのであった。
私は、人工子宮になりたい。
---
2024020111:11:58
@The_MuRaMaSa @PmjGkM2wxmpBCqt いいね、ありがとう。
少し書き換えました。
今後もまた無断でそういうことがあるかもしれないけど
よかったらまた読んでね。
いびき皮はいったん終わるけど、話はまた続く予定です。
twitter.com/dsa0/status/17…
2024020111:13:34
208
♪
<いびきの時のなかで
あなたの夢を見てた
ゆっこ is everything
ゆっこが私のすべて
誰が思うよりも強く
厳しい現実(いま)ならいらない
欲しいのはゆっこ
あたしは見た目より弱い
悲しい未来(あす)ならいらない
欲しいのはゆっこ>
布施明 Everything
https://www.youtube.com/watch?v=XnV3kWokmTQ
209
ベッドのなかの二人
き「ゆっちゃん、大好き!」
う「あたしも、かえちゃん大好き」
き「ずっと一緒におろな」
う「ずーっといっしょ、私のこと離さんとってな?」
き「ぎゅぅ離しまへんでぇ」
う「こそばいw」
き「ぎゅ~離さへんよ~」
う「ちょっとwこそばいこそばいw」
き「ゆっちゃん~」
2024020111:20:55
210
キノコの小説発表後
巷では、その内容がどこまで真実であるのかどうか
ちょっとした話題になっていた
たとえば、楽屋で暴力をふるっていた話については
小説に書いてある真実はこうだった
2024020111:25:38
215
キノコが楽屋で一人の時、
マネージャーのことを思いながら
クッションを殴り「お前のせいや!」と怒鳴り、
そこに入ってきたウサギがそれをみて
「私のせいやごめんなさい」と泣いていたのだという。
2024020111:27:00
216
そしてキノコが、ウサギのことを
「脂肪の塊が」と罵倒していたという噂は、
ウサギの夫は「大の巨乳好き」であり
もしも、ウサギの胸がもっと貧乳だったら、
こんなことになってなかったと思って言ったのだった。
2024020111:30:10
217
かつて、パスカルは
「もし、クレオパトラの鼻が
もう少し低かったならば
世界の歴史は変わっていただろう」
と言ったが
もし、ウサギの胸がぺしゃんこだったら
二人の未来も、また
違ったものになったかもしれなかった
2024020111:32:29
218
マスコミは、いびき皮のボケ、ウサギに
キノコの小説についてコメントを求めた
元来、本を読むのが苦手な彼女は
まだ「私は、人工子宮になりたい」を読めていなかった
マスコミは期間をおいて何度も連絡をとるが
なかなかウサギに取材をすることができなかった
2024020111:34:48
219
ウサギは、Bや2Bの鉛筆で
ほとんどのページにぐりぐりと線を引き、
「なるほど!」「うまいこと書いてある」
「ありがとう」「これ!」「かえちゃんならでは」
など相槌や感想を書き込みながら
ゆっくりと読み勧めていった
2024020111:37:20
220
ウサギは気分が乗らないときは
数週間、本を開かないときもあった
それがウサギの読み方だった
2024020111:37:50
221
半年以上たった頃だろうか
ウサギが読み終えた連絡を受け
テレビ局は彼女に取材を申し込んだ
事前連絡もして「電撃突撃」ではないのだが
芸能人ということもあり
自宅前で「電撃取材のてい」でインタビューをしたい
との話になっていた
ウサギも芸能人のはしくれとして
そんな演出にも慣れていた
2024020111:41:22
まとめを更新しました。「【4】女芸人の百合小説。●<いびき皮>編の【その3】●事件~● ジェンダーSF小説「心地よい弾丸 heveanly bullet」」 togetter.com/li/2305457
2024020114:07:39
222
当日、テレビ局は約束どおり
彼女のところへ向かった
電撃突撃の空気を高めるために
しばらく前に事前に話を決めただけで
電話などの打ち合わせをしないことになっていた
アナウンサーがインタホンを鳴らすと
ウサギの夫が出た
2024020114:14:02
223
さりげないひと手間に
アナウンサーは「演出を入れたな」と思った
ところが、ウサギはいないという
どういう演出なんだと思っていると
夫は
「これ今ライブですか?」としきりに訪ねた
「これ今、中継じゃないってことですよね
収録して、あとで流すってことですよね」
何度も確認した
2024020114:17:45
224
そして夫は
テレビ局は1つしか来てないこと、
周囲に他にだれもいないこと確認した
夫は、インタホンの向こうから小声で
ウサギは明日テレビ局がくると勘違いして
今、「あした渡す用のお土産」をスーパーに買いに行ってるという
2024020114:20:08
225
ウサギの天然をくらったカメラマンは、
「まいったなぁ」とカメラを降ろし、
女性アナウンサーも「困りましたね」と言って
とりあえず待つかと表にでると
スーパーの袋を持って帰ってくるウサギを見て
またカメラを担ぎ直した
「このまま行きましょう」と
アナウンサーはウサギに向かっていった
2024020114:24:05
226
アナ「ウサギさん、
相方のキノコさんの小説を読み終えたそうですが、
なにか感想はありますか?」
ウサギは、カメラマンとアナウンサーの顔を
キョロキョロ何度も交互に見ていた
アナ「読み終えて、なにか
ここは実際と違ったな、みたいなとこは
あったりするんでしょうか?」
2024020114:26:48
ウサギは、スーパーの袋のなかから
買ってきたクリームパンを取り出し
アナウンサーに渡した
答えを欲していた彼女は、とっさに受け取った
ウサギは、もう一つクリームパンを取り出し
カメラマンに差し出した
ウサギは全国の視聴者にむかって言った
「嘘は書いてません
だいたい、あんな感じです」
2024020114:30:57
228
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<死の山>
キノコには、尊敬する先輩芸人がいた
特別交流があったわけではないが
彼の才能と世界には憧れていた
彼は芸人でありながら、小説を執筆し芥川賞を受賞していた
彼の小説「死の山」はこんな話だった
2024020114:33:20